ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 少女は、ゆっくり硝子に触った。ひんやりとした感触の向こうに緑色の液体が泡立つ。

「ねえ、起きて。
何してるの」

 少女は、答える分けもないそれに答えを求めた。

 場違いな部屋に呑気な響きが落ちる。
「セスナ、この人達なんか変」

 好奇心に任せて言葉を紡ぐ少女の頬を軽く舐めたセスナは、紅い瞳で少女の視線を追い掛ける。

 少女はなおも、とんちんかんな質問を浴びせたが、結果が同じと悟ると部屋を抜けた。

 その時、警報機が鳴りあのシスターと数名の兵士が慌ただしく走ってくる。

 少女は、考えることなくセスナを天井に放り投げて、手を二回叩く。

「ブラック・スターっ」

 それと同時に、鍵詞と呼ばれる種を短縮で呼び出す言語を言い放つ。

 詞通りに黒い星の固まりが数発、雨霰と突撃してくる人々に当たり場は一瞬にして混乱に落ちた。

 それもそのはず、少女が使ったそれは子供が扱える代物では決してないのだ。

 種にも、いろいろと階級が存在する。
 上級者をメソッド。

中級者をエチュード。

 初心者は一般種師と呼ぶ。

 そのほか、最上位無音種師(サイレント)がいるが、詳しくは今は省くこう。
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