ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
序幕
「隊長っ。
また、僕の財布から現金を抜き取りましたね」
「あ、何のことだ。俺は知らないよ」
「惚けないでください。
ちゃんと入れて置いたんですよ、今月分の路銀」
魔法を種と呼ぶ世界にあるラッドサンド大陸の片隅で、出張を名目に政府から追い出された二人の朝は、さしずめこんな会話で始まる。
「知らないって。
盗人にやられたんだろ、副の不注意だ」
「隊長が気付くでしょう。
気付かなかったと言うことは、犯人は隊長です」
「うるさい。
黙って、奴らの相手しな」
喚きちらす、円眼鏡の男か女か判別不可能な人間に対して、隊長と呼ばれた黄髪黄眼(オウパツオウガン)の彼は、先程から武器片手ににじりよる盗賊の類を一瞥した。
「へへっ、こんな場所でお尋ね者の神に会うとは運が良い。
黙って、あの地に還りやがれっ」
盗賊のひとりが、いきり立って声を張り上げると、未だ言い争いを繰り広げる二人に向かい、無数の人間が迫った。
神、それは、世界でたったひとりの黄髪黄眼の彼のことを指す。
彼には名前が無く、ドラゴン遺伝子と人間の女から生まれた奇跡的存在と言われている。
また、僕の財布から現金を抜き取りましたね」
「あ、何のことだ。俺は知らないよ」
「惚けないでください。
ちゃんと入れて置いたんですよ、今月分の路銀」
魔法を種と呼ぶ世界にあるラッドサンド大陸の片隅で、出張を名目に政府から追い出された二人の朝は、さしずめこんな会話で始まる。
「知らないって。
盗人にやられたんだろ、副の不注意だ」
「隊長が気付くでしょう。
気付かなかったと言うことは、犯人は隊長です」
「うるさい。
黙って、奴らの相手しな」
喚きちらす、円眼鏡の男か女か判別不可能な人間に対して、隊長と呼ばれた黄髪黄眼(オウパツオウガン)の彼は、先程から武器片手ににじりよる盗賊の類を一瞥した。
「へへっ、こんな場所でお尋ね者の神に会うとは運が良い。
黙って、あの地に還りやがれっ」
盗賊のひとりが、いきり立って声を張り上げると、未だ言い争いを繰り広げる二人に向かい、無数の人間が迫った。
神、それは、世界でたったひとりの黄髪黄眼の彼のことを指す。
彼には名前が無く、ドラゴン遺伝子と人間の女から生まれた奇跡的存在と言われている。