ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 それに重なり、セスナの胴体が風の影響で揺れた。

 ボーガンの矢は、少女でも彼でもなくスピカの腕に突き刺さる。

 ヴォルラスがすかさずスピカを抱きとめ、ボーガンを抜くとネクタイとハンカチで止血を試みる。

「ガキっ。
上から出られる」

「わかってるもん。命令しないで」

 ヴォルラスに任せて、彼は少女に言い放つ。


 少女は、一瞬膨れた顔をした後にセスナを上昇させ、その町を抜けた。

 彼らの居なくなった空を見上げていた人々が、にわかに殺気立ったことも知らずに。
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