ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
3話/避難パスは短めに
チェスト・リーム。
青年には名前があったが、子供の頃から名前を覚えてくれる人物はいなかった。
だから、なのだろうか、いつしか悪の道を突き進むようになったのは。
昔から、いじめられっこだった彼は、ラプラス団という奇怪な悪党集団に属する詐欺師こと、ブギル・クラフトに助けられ、ブギルを兄貴分として慕い、名前のない彼こと、神様をある場所へ連れて行くのを手伝っているのである。
(まさか、副っちに当たるとは思わなかったっす)
ボーガンを丁寧に布でくるみ、神官兵士が陣として構えている場所へと来た彼は、胸中でぼやいて首を振った。
「チェス、あのシスターの名前はなんだったかしらね」
そんなチェストの背後に現れた背の高い女の問いに、前にのめり込む。
「驚かせないでくださいよ、アリト姐さん」
そのまま振り向いたチェストの前には、普段のアリトではなくあのシスターに変装した姿があった。
「思い出したわ。
アリトではなくて、リンメイと呼びなさい」
アリトは小さな笑みを作ると、シスター服の袖についていたボタンを留めた。
「本物はどうしたんっすか」
「秘密よ、秘密。
さ、仕事を終わらさせてシュイリ様にお土産を持参しましょう」
青年には名前があったが、子供の頃から名前を覚えてくれる人物はいなかった。
だから、なのだろうか、いつしか悪の道を突き進むようになったのは。
昔から、いじめられっこだった彼は、ラプラス団という奇怪な悪党集団に属する詐欺師こと、ブギル・クラフトに助けられ、ブギルを兄貴分として慕い、名前のない彼こと、神様をある場所へ連れて行くのを手伝っているのである。
(まさか、副っちに当たるとは思わなかったっす)
ボーガンを丁寧に布でくるみ、神官兵士が陣として構えている場所へと来た彼は、胸中でぼやいて首を振った。
「チェス、あのシスターの名前はなんだったかしらね」
そんなチェストの背後に現れた背の高い女の問いに、前にのめり込む。
「驚かせないでくださいよ、アリト姐さん」
そのまま振り向いたチェストの前には、普段のアリトではなくあのシスターに変装した姿があった。
「思い出したわ。
アリトではなくて、リンメイと呼びなさい」
アリトは小さな笑みを作ると、シスター服の袖についていたボタンを留めた。
「本物はどうしたんっすか」
「秘密よ、秘密。
さ、仕事を終わらさせてシュイリ様にお土産を持参しましょう」