ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
「秘密って、ま、まさか、殺害したんじゃないっすよね」

 いくら、悪党の道を駆けている若手とはいえ、理由無くして人を殺める度胸の無いチェストの慌てた口振りに、アリトは半眼で一瞥する。

「仕事が成功したら助けるつもりよ」

「失敗したら、その、やっぱ、殺しちゃうんっすね」

「ともと、私達の動きを嗅ぎ回ってた一派のひとりですもの。
 宣戦布告の意味を込めて、血祭りに上げるというのが良いかと思うわ」

 チェストを前に、何か恐ろしく汚れた発言をしたアリトは、リンメイとして施設へと消えた。

 それを見送り、チェストは深々と息を吐く。

 アリトにはまだ、ブギルの仕事を話していない。

 ラプラス団が奇怪な団体といのは、メンバーでありながら行動を共にすることはなく、組織としての階級も細々と制定されていないところにある。

 ある意味、年功序列型の権力主義で、長と四天王、それに使える部下、それ以下は鼠算方式でそれぞれ勝手に動いている。

 勿論、実行は自費で、長直属の命令のみ資金が配布される。

 ブギルはメンバー管理の杜撰さを生かして、多数の事件を掛け持ち、ラプラスの敵とり見方となり大陸を渡り歩いているのだ。
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