ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 逆に、アリトはラプラス団の元祖意向を次いで、シュイリと呼ばれる神官側の長の元に行動している。それでも、気紛れに別の群に紛れて大きな犯罪を手掛けていたりするのだが、それは別の群からのお誘いであり、アリトにとっては丁の良い小遣い稼ぎでしかないのである。

 それを証拠に、神官が関わる事件からはあっさり手を引き、すべてを裏切ることを厭わない。

 ほかにも、いろいろな団員をチェストは見てきたが、仕事面での適当差はこの二人しか思い浮かばなかった。

(今回も、俺っちは無駄働きなんっすかね)

 かく言うチェストは、アリトに言われてリンメイを狙い、ブギルに言われて居たので、周りが神と呼ぶ男を狙っただけだった。

 そして、神官陣でのチェストの位置は、ただの調理人である。

 ボーガンは、指示された部屋のベッド下に滑り込ませて、支給されたエプロンを付けて、何気なく厨房に現れる。

 包丁の使い方は、神と呼ばれる男よりは下手だったが、まかりなりにも戦時中にそれを指摘する仕事熱心な料理人はいなかった。

 当初は、女だらけかと危惧していたが意外にチェストと同い年の青年が、鍋やらフライパンやらを荒い仮設コンロに掛けていく。
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