ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
「は、それがなんで料理なんか」

「路銀稼いでただけっす。
 クルっちのおかげで、とんでもないことに巻き込まれたっす」

「だから、誰かに助けを頼むつもりだったんだ。
 それを、お前が勝手に逃げ出したんだろ」

「無理っすよ。
 そいつらが庭に這い出るまでに、部屋に居る人々に知らせる手段がないっすもん」

 チェストは足を止めて振り向いた。

 訝しげな顔のクルルがそこにいる。

 神官側陣地の部屋にはギバルの部屋同様、パスが設けてある。なぜ、あれだけ長いパスになっているかは知らないが、緊急の場合はまったく効果が無い。

 だからこその監視システムなのだが、それならばクルルが侵入した際に、なんらかの動きがあって然るべきなのだ。

「通路の向こうは一瞬で壊滅だ。
 監視カメラなんか無かった、見張りとして博士が数人部屋に居ただけで」

「煙や音はなかったっすよね」

「一番、奥の部屋、だ。
 開けようとした矢先に、扉が吹っ飛んだ。
 中を覗いたら、博士どもの死体と、分けの分からねえ化けものがこっち向いてたんだよっ」

 震えながら、上擦ったような声で言う。チェストも話を聞きながら、ひきつり笑いに変わって行く。
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