ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 思い当たるところがあるのか、ギバルが反発力だけで席を立つ。

 アリトは何も言わずに、ギバルが外へ出ることを待った。

「行くぞ、リンメイ」

「え、あ、はい」

 しかし、アリトの思惑が叶うことは無いようだ。

「彼を治療したら直ぐ参ります」

 急いで切り返すアリトに、ギバルはその目を細めた。

「いつから治種が使えるようになった」

 アリトは、失言に笑みを作る。

「つい、先程ですわ」

 そこへ来て、リンメイが別人だと確信したのか、ギバルが刀を抜いた。

 人を切りなれた、青光を纏う刀で、東国の人間が、好んで使う武器らしい。

「あらあら、良いんですか。
 外は、相当に酷いことになっているようですけれど」

 意地悪く笑むアリトの言葉を聞くことも無く、その刀が閃いた。

 しかし、ギバルが切り刻んだのは、銀の毛並みを持つ狼で、首に尊命が付いていた。

 いつ、アリトがそれを生み出したのかは、ギバルには分からなかった。

 たが、それがすぐさま本の形になりギバルに向かってくる。

「先程までの貴方は偽りですか」

 その様子を愉快そうに眺めながら、机の引き出しを開く。
「く、それが目的か」
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