ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 施設の管理は充分だった筈だ。

 実験室までの通路には幾重にも扉を用意し、厳戒態勢を引いていた。

 誰かが、パスを解除したままだったとしても、DM(ドラゴンザミリオン)を安置して場所には監視カメラなるものを取り付けてある。

 兎に角、DM暴走の前途が見えて来ずにギバルは、苛立ちを隠せないまま刀を振るい、斬られては再生を繰り返す代物に毒づいた。

 政府の人間が潜り込んだ節も見当たらない。

 先程の女に協力者でも居たのだろうか。

 様々な、原因や要素を思い浮かべるギバルの元に副長官が神官特有のローブをはためかせて近寄って来る。

「一般の避難は終了しましたが、兵士の死者が数名出たと報告が入りました。
 捕縛班は動いておりますが、回収率は低いとのことです」

「DMは何体抜け出した。
 他の被害は」

「それなのですが、実験中の物が抜け出したらしく、詳しい数は分かっておりません。
 家屋への被害は今後も増えると予測されます」

「ひっ、やはり、あいつの仕業か、パルマめ、小癪な真似を」

「ラプラスの長が何かなさったのですか」

 髪を握りうろたえるギバルに、副長官は聞いた。
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