ロデオ･カルテット─ｼｰﾙﾄﾞﾛｯｸ─鳥籠編

二章/夜のセカイ

　夜。

　闇が全てを呑み込み、静寂が広まる。

　極偶に光る星が流れては、人々はそこに幸を祈る。

　神官区域でDMが暴走を始めたことすら知らないまま、宿の一室に彼らは居た。
　スピカの治療は済んだが、毒を緩和させる種術使いが不足しているため、中和剤で回復を待っている。

　少女はセスナを抱き締め、窓際で空を見つめたまま経過を待つ。

　その後ろで、椅子に座るヴォルラスと相変わらず帽子とサングラスを取らない彼が会話をしていた。

　もっぱら、ヴォルラスの出張と彼とスピカが何故此処へ辿り着いたかの会話で少女には面白くもなんとも無かったが、それでも、スピカのことが心配で部屋から飛び出せずに居た。

「やっぱりか。
　奴らが絡んでるなら、さっさと町を出た方が良いな」

「そうですが、易々と町を出させてくれるでしょうか。
　それに、隊長さんは政府の味方となっているんですよ。
　此処の人々を見捨てるおつもりですか」

「ん、町を陥没させるしか俺には終わらせる手段がないんだよ」

　ベッドに寝転がって、やる気を見せることがない彼に、ヴォルラスは溜息をついた。

「相変わらずですか」