ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
「戦滅なら幾らでも手はあるんだ。
 まあ、内部だけ破壊ってのもやれるが、時間が掛かるだろ」

「大丈夫ですよ。
 隊長さんが歩き回っていれば、あちらから出迎えにきます」

 ヴォルラスの助言に面倒そうに寝返り打って彼は言い返す。

「詐欺師もその連れも出てきたところで皆まで説明しないだろ」

「それは、そうですが、接触する価値はあります」

 会話しながら、彼はセスナの視線に気付いていた。

 出会う度に、何か言いたげな紅い瞳で彼を見つめている。

 いきなり起き上がった彼に驚くヴォルラスを余所に、少女に近づくとセスナを無理やり取り上げた。

 彼の両手で、無駄に暴れるセスナを助けようと少女が手を伸ばす。

「あっ、セスナ返せっ」

「なあ、ガキ、こいつの言葉わからないか」

「わからないよ。
 返せ、嫌がってる」

 彼と少女には身長差が在りすぎる。

 届かないと判断した少女は、ムキになって飛び跳ねた。

「嘘だろ、偶に話してる」

「あれは偶にだもん。
 セスナからちゃんと返答が返るわけじゃない」

 セスナを空に掲げる彼に少女は必死で食いついた。

 彼はそれを避け、暴れるセスナを無造作に放り投げた。
< 43 / 142 >

この作品をシェア

pagetop