ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
スピカの呻く声が響きわたる。
「スピカさん、気づかれましたか」
紅茶カップを机に置いて、ヴォルラスはベッドに近寄った。
スピカの手がヴォルラスの袖をゆっくり握り、まだ、呂律の回らない舌で何かを言おうとしている。
ヴォルラスは、なんとかスピカの言葉を拾い、理解すると頷いたが直ぐに首を振る。
「しかしですね。
スピカさんを置いて行く分けにはいきません」
しかし、スピカの蒼瞳が虚ろに開き、その唇がなおも彼と少女を追うようにと告げる。
中和剤の効き目は良好ではあるが、本調子に戻るまでには時間が掛かりそうだった。
ヴォルラスは、眉を顰めてスピカを見つめていたが、再びスピカの意識が無くなると迷いがちに外を一瞥した。
こんなときこそ、式紙を作れたらと思うも、ヴォルラスは剣豪一家の三男坊で種の使い勝手を知らない格闘家の出身なのであった。
外は木枯らしが吹いている。
夜の名物である満月が空を陣取っている時刻だ。
宿の柱時計の鐘も鳴り、夜の世界が動き出す時間を示す。
何時の間に、時間が経ったのかヴォルラスは疑問だったが、本を読み返している内にうたた寝していた時間を差し引けば納得の行く時間だった。
「スピカさん、気づかれましたか」
紅茶カップを机に置いて、ヴォルラスはベッドに近寄った。
スピカの手がヴォルラスの袖をゆっくり握り、まだ、呂律の回らない舌で何かを言おうとしている。
ヴォルラスは、なんとかスピカの言葉を拾い、理解すると頷いたが直ぐに首を振る。
「しかしですね。
スピカさんを置いて行く分けにはいきません」
しかし、スピカの蒼瞳が虚ろに開き、その唇がなおも彼と少女を追うようにと告げる。
中和剤の効き目は良好ではあるが、本調子に戻るまでには時間が掛かりそうだった。
ヴォルラスは、眉を顰めてスピカを見つめていたが、再びスピカの意識が無くなると迷いがちに外を一瞥した。
こんなときこそ、式紙を作れたらと思うも、ヴォルラスは剣豪一家の三男坊で種の使い勝手を知らない格闘家の出身なのであった。
外は木枯らしが吹いている。
夜の名物である満月が空を陣取っている時刻だ。
宿の柱時計の鐘も鳴り、夜の世界が動き出す時間を示す。
何時の間に、時間が経ったのかヴォルラスは疑問だったが、本を読み返している内にうたた寝していた時間を差し引けば納得の行く時間だった。