ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
「いや、コリアまでの道のりが分かるのかって聞いてるんだ」

「それはどうにでもなるっすよ。
 水路を使って避難してるのは、俺っち達だけじゃないっすから」

 チェストが指差した方に数人の固まりが見える。

 近寄って話を聞けばこれからもうひとつの神官領域に向かうと言う。

 チェストは政府領域とは口にせず、途中まで同行することを申し出た。

 神官特有のローブにシスターと牧師姿の数人と、一般市民特有の私服を着た団体は快くチェストとクルルを連れて歩きだした。

 小一時間過ぎた辺りで、チェストが会話がてら行き先を口にすると、シスターが分かれ道を指差して丁寧に道順を教えてくれた。

「助かったっす。 
 叔母にも逢えるっす」

 チェストは嘘をさらりと述べると、クルルと共に集団を見送り示された方へ足を早めた。

 クルルの持つ懐中時計は、深夜を回る。

 町の様子や事態はまったく分からない二人だったが、言われた通り七つ目の角を曲がり梯子を登ると蓋を開いて路地に降り立った。

 チェストは、コリア町の表通りへと突き進み宿にくると、先に泊まっている客の連れですと手際よく受付を終了させて部屋に入る。
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