ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 部屋では、黒い髪で細目の男が椅子を陣取って欠伸を噛み締めた。

「やあ、遅かったね。
 何かあったのかい」

 自己紹介もそこそこに、ローブの男はチェストに聞いた。

 チェストがメルを打ってから、結構な時間の開きがある。

 コリアとバロックスの距離はそう遠くない。

 チェストが分かることを述べれば、男は楽しげに笑うだけだった。

「元々、欠陥品だろう、未知の作用が働くことくらい予想できた筈じゃないのか。
 とりあえず、話を聞きたいね」

 座ったまま、広げていた医学の本を裏返してクルルに視線を向け、軽く名前を口にすると、ブギルは疲れたように首を回した。

「話って、なにをだよ」

 クルルは、チェストの兄貴と言う言葉にいろいろ想像していたために、優男の出現にある意味呆然としていて、言葉を返すのが一泊遅れたが、ブギルはさほど気にしていない様子で、クルルの答えに返した。

「そうだね。
 欠陥品について知ってることと、君が何故、それを探るような真似をしたかかな」

「そんじゃ、俺も聞いていいか」 

 クルルは警戒しながら言い返す。

「お前等は何者で、なんであんなもんを追い掛けてるんだ」
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