ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
「隊長、待って下さい」

 そんな中、彼が事務所に向かおうとするのを間髪入れずに止めて、スピカが首を振る。スピカにはあの兵士が嘘を吐いているとは思えなかったのだ。彼もそれを察したが、念の為とスピカの手を振り払い、事務所の夜間受付場にいる老人に詰め寄った。だが、結果は同じである。

「なんなら、他部署にも連絡を採ろう、少し待っててください」

 老人は、彼の剣幕に重たい腰を上げてメルを流した。

 コリアの町には、コクリート率いる軍隊と元から配置されている警備警察隊がある。

 元から配置されている隊の数は監獄島同様で四つのようだ。いずれも、一日中缶詰め兵士が待機している。

 連絡は直ぐに来たが、どこにもヴォルラスは居ないという。

「副、本当に連れて行ったのは政府の奴らかよ」

 あれだけのワイン瓶を開いたにも関わらず、酔いも覚めた彼は、腑に落ちない顔をしている。

 スピカも悩むように眉間に皺を寄せて、顎下に軽く手の甲を当てた。

「まさか、コクリート氏の部隊に連れて行かれたのでしょうか」

「最初からそうなんじゃないのか。
 神官嫌いに話がばれたら一大事だろ」

「でも、紙にはあの事務所の名前が書いてたんですよ」
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