ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 スピカがスーツのポケットから出した手紙には、走り書きであの事務所の正式名称が掛かれていた。それでも、あの事務所にはヴォルラスの陰が無いという。


「監禁されているんでしょうか」

「それもあるが、あれ以上踏み込むとこっちが悪者扱いだ。メルは機能してないのか」

「連絡は来ていません。
 どうしましょうか、コクリート氏の元へ出向きましょうか」

「そっちは俺が探す。
 副はガキ探してくれ」

 彼は、スピカにそう言い付けてきびすを返すとコクリートが居た事務所へと走り出した。

 コクリートの事務所前には、先程見た兵士の他に陸軍専用軍服を着た人間が集まっている。

 余りに物々しい空気に彼は、行きずりの兵士を捕まえて問いただした。

 聞けばサージのバロックに掛けられた結界が崩れたのだと言う。この機を逃すことなく攻め込むと夜中に命令が下されたと言う。

 彼は続けざまにヴォルラスのことを聞いた。すると兵士は頷いて事務所内を差した。

 彼は兵士を押しやり、周りが目を円くするのも気にせずに事務所へと入る。

「これは、神様。
 DMは破壊できましたかな」

「うるさい、連れはどこだ」

 出てきたコクリートの胸ぐらを掴み彼は言う。
< 64 / 142 >

この作品をシェア

pagetop