ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 スピカも間抜けな声を上げて前のめりに転けて顔面を地面にぶつける。

 狼は、そのままスピカを踏みつけるとバロックスの中心にある教会へ走り去る。

「あ、あれはっ」

 スピカは眼鏡を付け直し、狼の上に乗せられたルミアに気付いて後を追う。

 その時、構成仕掛けていた結界が何者かによって作られた。

 政府軍はそれに安堵したが、スピカがゲートの先に閉じ込められた形になった。

「な」

 後から駆けつけたヴォルラスは話を聞いて硬直する。

「どういうことですか」

 やっと出た言葉に周りは視線を浮つかせる。

「だから、深い意味はなくそうなんです」

「誰がこの結界を操作したと言うんです」

「さあ、我々にはとんと検討が尽きません。
 長官殿もわからないと頭を悩ませておりますゆえ」

 部隊の隊長が困惑した表情で、避難してきた神官を誘導しながらヴォルラスに答えた。

 幾ら、仲違いをしているとはいえ町の様子を見た人々は、逃げてきた人間を責めることはできないのだろう。そこが、人間の不思議な感情であった。

「では、バロックスに入る手段はないのですか」

 ヴォルラスの問いに隊長らしき中年男は、地下を指差した。
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