ロデオ・カルテット─シールドロック─鳥籠編
 そんな追い詰められた三人に、ルミアの無邪気な声が響く。


「僕は強さは望みません」

 ペシェが、ギバルを昏倒させスピカの傷を治しに掛かる。

「どうして?
 力が強ければ、何でもできるし、何でも叶うんだよ。
 私みたいに、壊れても再生する体も手には入るし、痛みもなくなるんだよ」

 言って、ルミアは自分の腕をへし折った。

 硬直するスピカをよそに、半壊した笑みを浮かべるルミアはそのまま、急激に治った腕を見せびらかして続けた。

「お父さんは欠陥品ってなじったけど、お母さんは私を完成品だって言ってくれたの。
 だからね、私は此処にいるみんなのお姉ちゃんなの。
 お母さんは、もっと材料が欲しいって言ってたの。
 だから、お兄ちゃん達を連れていくの」

 ルミアは、言うだけ言うと集まったDMに指示を与えた。

 だが、ルミア本人にその自覚は無いようだ。

「どういうことですか」

 スピカが首を振り全貌が分からずに呻いた。

「まず、此処から退きま……あっ」

「神官さんっ」

 一瞬の出来事だった。

 ギバルがペシェを殴り飛ばし、狂うようにルミアに向かいルミアを弾き飛ばした。
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