最後の夏-ここに君がいたこと-

裏山

バチバチッと耳障りな音が鳴って、海岸沿いの街灯に明かりが付く。

思い出話に夢中になっている内に、いつの間にか日は沈んで辺りは薄暗くなっていた。


「随分暗くなっちゃったな」


「本当だね。悠太はご飯、久々に家でおばちゃんやおじちゃんと食べるんでしょ?」


海を見つめている悠太に問いかけた。

久々の帰省だ。すごいご馳走を用意して待ってるに違いない。


「あ、いや。まぁ、そうだな……」


「違うの?」


「……今日は夕飯いらないって言って来たからいいんだ」


悠太が苦笑いする。


「えー! 久々に母ちゃんの飯が食いたくなるもんなんじゃねぇの?」


陸が噛み付く。


「マザコンの陸とは違うのよ」


「あ! お前それ心外だぞ! 今すぐ取り消せ」


「いーやーだー」


「ぬぅうう」


陸が私の首根っこを掴む。

首は弱点だ。まずい!! 慌てて首を縮めたが、時すでに遅し。


「ぎゃーははひふ! くすぐったい! やーめーてー!」


志津が大爆笑する。








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