最後の夏-ここに君がいたこと-
渋々歩き始めた、その時。

頭上でバサバサバサッという羽音と共にカラスが「カァー」と鳴いて飛んでいった。

その音に心臓が縮こまって、鳥肌が立った。


「きゃあああああ!!!」


「うぉっ」


悠太の背中に全力で体当たりした。


「な、ななんかいるっ」


悠太の背中にしがみついたまま叫んだ。

ひんやりした悠太の体温がおでこに当たった。

心臓がまたぎゅっと縮まって、鼓動が早まる。


もう何に対するドキドキなのか分からない……。


まずい!こんなの心臓が持たない。


「気色悪い声出すな!!!」



私の声に驚いた陸が怒っている。
声が半泣きだ。

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