最後の夏-ここに君がいたこと-
あと数日で試合、というある日。

この日も陸はひとり残って練習をしていて、この日も私はいつもの様にベンチに座って見学していた。

春なのに風が強くて肌寒い。


「寒っ……」


首筋に悪寒が走って身震いした。

シュート練習をしていた陸がいつものように叫ぶ。


「先帰れ!!」


「先帰れって言われても、暇だし見て……へっ、へっ、へぐしゅっっっ」


耳の奥がじぃんと痛くなる程大きなくしゃみが出た。

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