最後の夏-ここに君がいたこと-
「何だ今の! おっさんじゃん!! 変なのー」


「う、うるさーい」


ボールを蹴るのを止めて、陸が腹を抱えて笑い出した。本当にデリカシーのない奴。


今日、寒いんだもん……。


鼻水をすすりながら睨み付ける。

すると笑いながら陸がポケットから何か出して、ぴんっと弾くように私に投げた。

空中でひょいっとキャッチする。


ロッカーの鍵。


「俺の指定カバン取ってきてー」


「はぁー? パシリ?! だいたい陸、指定カバンいつも置いて帰るじゃない!」

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