最後の夏-ここに君がいたこと-
誰もが無我夢中で応援した。

自分達の声帯が壊れるんじゃないかなんてくらいに叫び続けた。


「ゴール決めてやれー!」


一息ついてパッと周り見ると、誰もが真剣な目で応援している。

ふと暖かいものが心の中を流れる。

うちの高校にはチアも、ブラスバンドも何もない……。

向こうの高校生達が当り前に食べているマックも、ミスドも何もない……。本当に何もない。


だから、私はこの町が好きじゃないし、出て行きたいってずっと思っている……。


でも、でもね……今もっと大事なものが見えた気がした……。


やっぱりこの町を好きにはなれないけれど……私達は間違いなく向こうの生徒達が持っていない『何か』を持っている……。


今はまだうまく言葉に出来ないけれど、なんだかそんな気がした。


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