最後の夏-ここに君がいたこと-
我校のゴールキック。

長い長いボール。

そのボールを陸がトラップして相手ゴールを目指す。


「陸ーっ」


陸が3年FWにショートパスを出す。

しかしまた相手選手にボールをカットされてしまう。


「あぁーっ!!」


相手選手はそのまま振り向くとゴールを狙う。

しかもこの選手、かなり足が速い。


「うわっ。あいつ足速っ」


男子達が感嘆の声を出す。

相手選手はドリブルで次々に我校の選手達を抜き去ると、一気に駆け上がる。

うちの高校のゴール前には2年生のセンターバック、野原君(のはらくん)がひとりいるだけ。


「きゃーっ、いやだー」


横で梢子達が悲鳴にも似た声を上げた。

しかしこれは……ヤバイ……!

皆必死でゴールまで戻るけれど、相手選手の足が速い。


「うわわわ、これはかなりまずいんじゃない?」


「あーあーあー!!!」


「頼む、野原-っ」


皆が口々に叫んだ。





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