最後の夏-ここに君がいたこと-
最初のページに貼られていたのは2歳の3人の写真だ。

とは言っても、早生まれの陸はまだ1歳。
ベビーカーに乗っている。
それを覗き込んでいる、私と悠太が笑っている。

変なの。
今では陸が一番大きいのに。



ページをめくると、4歳になった3人がいた。

アスファルトに夢中で落書きをしている。

悠太のほっぺに白いチョークがついている。

悠太は絵が上手で、いつも私達は『書いて書いて』ってお願いしてたっけ。
私ね、悠太の書くドラえもんが大好きだった。



次のページには、満開の桜の下に3人で立っている写真。

小学校の入学式だ。
黒いランドセルを背負って両手でピースする陸の隣で、悠太が赤いランドセルを背負っている。

私が『2人と一緒の黒じゃなきゃ嫌だ』って泣いたから、この時だけ交換してくれたんだよね。

目を真っ赤にした私の手を握って、悠太は笑って大きくピースしている。

いつもわがままばかり言ってごめんね。
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