最後の夏-ここに君がいたこと-

三人

夕日が海を照らす。
海は夕焼けに染まって橙色に光る。

毎日見る景色。

子どもの頃から、ずっと変わらない景色だ。

陸、悠太、私と並んでテトラポット腰を下ろす。

突然の再会に思わず泣いてしまったせいで、涙は止まったものの目は重たいし、鼻水が止まらない。
 

「久々だなー」


背伸びをした悠太の少し高い鼻が夕焼けに照らされる。


「連絡してくれたら駅まで迎えに行ったのに」


「突然なんだもん」


鼻も目も真っ赤になった私と陸は口々に文句を言う。


「ごめんごめん。一応志津には日にち書いた手紙出したんだけど、まだ届いてなかったみたいだな」


「ロンドンの郵便局、怠慢過ぎるよ」


鼻水をぐすっとすする。

この1年半、スムーズに手紙が届いたことなんて1回もない。
郵便受けを覗いては、ため息をつく毎日だった。


「いつまで泣くんだよ」


と言って、悠太が私の頬をつまむ。

久々に触れた悠太の指は意外な程冷たくて、どきっとした。

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