最後の夏-ここに君がいたこと-
「ねえ、陸ー?」
ようやく声に気が付いたらしい。
はっとした顔をして陸が笑った。
「志津っ、ばあちゃん所にも招待状渡しに行こ!」
真っ白な封筒を持った陸が、私の右手を取って走り出す。
暖かい手。
少し黒く焦げた緑色のミサンガが揺れている。
「陸、痛いよー」
引っ張られるままに海が見える道を石段へと向かう。
横では向日葵が優しく風に吹かれていた。
繋いだ右手の薬指で、シルバーの指輪が夏の陽に照らされて反射する。
私は、陸が指輪をくれた時、何も考えず左手につけようとした。
そしたら、陸に止められたんだ。
『いや!指輪は右手にして!』
『え。でもこれ婚約指輪でしょ?普通左手じゃないの?』
『左手にはこれ!』と陸が黄色のミサンガを差し出した。
いま、私の左腕では黄色のミサンガが揺れている。
今年もこの町に夏がやってきます。
山のセミ達がまた大声で鳴き始めています。
青い空には真っ白な入道雲が出てるよ。
悠太、今年も暑くなりそうだね。
ようやく声に気が付いたらしい。
はっとした顔をして陸が笑った。
「志津っ、ばあちゃん所にも招待状渡しに行こ!」
真っ白な封筒を持った陸が、私の右手を取って走り出す。
暖かい手。
少し黒く焦げた緑色のミサンガが揺れている。
「陸、痛いよー」
引っ張られるままに海が見える道を石段へと向かう。
横では向日葵が優しく風に吹かれていた。
繋いだ右手の薬指で、シルバーの指輪が夏の陽に照らされて反射する。
私は、陸が指輪をくれた時、何も考えず左手につけようとした。
そしたら、陸に止められたんだ。
『いや!指輪は右手にして!』
『え。でもこれ婚約指輪でしょ?普通左手じゃないの?』
『左手にはこれ!』と陸が黄色のミサンガを差し出した。
いま、私の左腕では黄色のミサンガが揺れている。
今年もこの町に夏がやってきます。
山のセミ達がまた大声で鳴き始めています。
青い空には真っ白な入道雲が出てるよ。
悠太、今年も暑くなりそうだね。