最後の夏-ここに君がいたこと-
試合
ロンドンに旅立ってから1年後、悠太は初めてU-18に召集された。
向こうで頑張った成果が認められたのだ。
その試合が放送される日、深夜中継にも関わらず、町のほとんどの人たちが高校の体育館に集まった。
「早く、早く!!」
真っ暗な石段の一番上から陸を呼ぶ。時々吹き付ける風がまだ冷たかった。
「待てよ、志津ー。俺ばあちゃん背負ってんだぞ」
「あら。そんなに重いかねぇ?」
陸の背中でばあちゃんが口を尖らせた。
「まぁ、決して軽くはない! トレーニングに最適!」
「失礼ねーっ!」
ばあちゃんがころころと笑った。
駄菓子屋のばあちゃんも悠太の試合が観たいらしい。
U-18の試合は地上波での放映がない。
ばあちゃんちでは見れないらしいので、高校の体育館で行なわれるパブリックビューイングに一緒に連れて行ってあげることにしたのだった。
腰が悪いばあちゃんに「俺がおぶってあげるよ」と陸が申し出たため、この様な状況になっている。
ちなみにばあちゃんは「石段くらい登れるよ」と断ったのだが、トレーニングの一環だからと、陸が無理矢理おぶった訳だ。
「あー、緊張してくるわぁ」
陸の背中で、ばあちゃんが胸に手を当てた。
「ばあちゃんが緊張してどーすんだよ」
小さい頃から3人で毎日の様に駄菓子屋に入り浸っていたので、ばあちゃんにとって悠太は孫みたいな存在なんだろう。
そんな悠太の晴れ舞台を見たいと思うのは当然だ。
向こうで頑張った成果が認められたのだ。
その試合が放送される日、深夜中継にも関わらず、町のほとんどの人たちが高校の体育館に集まった。
「早く、早く!!」
真っ暗な石段の一番上から陸を呼ぶ。時々吹き付ける風がまだ冷たかった。
「待てよ、志津ー。俺ばあちゃん背負ってんだぞ」
「あら。そんなに重いかねぇ?」
陸の背中でばあちゃんが口を尖らせた。
「まぁ、決して軽くはない! トレーニングに最適!」
「失礼ねーっ!」
ばあちゃんがころころと笑った。
駄菓子屋のばあちゃんも悠太の試合が観たいらしい。
U-18の試合は地上波での放映がない。
ばあちゃんちでは見れないらしいので、高校の体育館で行なわれるパブリックビューイングに一緒に連れて行ってあげることにしたのだった。
腰が悪いばあちゃんに「俺がおぶってあげるよ」と陸が申し出たため、この様な状況になっている。
ちなみにばあちゃんは「石段くらい登れるよ」と断ったのだが、トレーニングの一環だからと、陸が無理矢理おぶった訳だ。
「あー、緊張してくるわぁ」
陸の背中で、ばあちゃんが胸に手を当てた。
「ばあちゃんが緊張してどーすんだよ」
小さい頃から3人で毎日の様に駄菓子屋に入り浸っていたので、ばあちゃんにとって悠太は孫みたいな存在なんだろう。
そんな悠太の晴れ舞台を見たいと思うのは当然だ。