私に恋を教えてくれてありがとう【下】
今日も大島先生の言葉が患者をめった切りにしていく。
華子は慣れっこだが病気と向き合っている当の本人達にとっては生き地獄でしかない感じだ。
今も中年のストレスを腹にたっぷり抱えた男性が餌食となっている。
あまりにキッパリとためらわずに言葉を運ぶ為
だんだんこちらは気持ち良くなってきて
華子は度々花岡先輩に目配せをして
「聞きました!?今の!!
やばくないですか!?」
と、年頃の女の子らしくきゃっきゃとはしゃいだ。
箸が転がっても、ステートがぶら下がってても笑える感じだ。
しかし外の天気はその和やかな雰囲気を一掃した。
雷を含んだどす黒い雲が奇妙に蠢き
ゴロっと音をたてた。
「雲速いね、台風来るし
今日の帰り電車止まったらまずいね」
針とチップを忙しなくセットする華子に先輩が手助けをしつつ話掛けた。
ブラインド式に開く換気窓から
湿ってぬるぬるした外気が何の音もたてず気味悪く浸入していた。
華子は慣れっこだが病気と向き合っている当の本人達にとっては生き地獄でしかない感じだ。
今も中年のストレスを腹にたっぷり抱えた男性が餌食となっている。
あまりにキッパリとためらわずに言葉を運ぶ為
だんだんこちらは気持ち良くなってきて
華子は度々花岡先輩に目配せをして
「聞きました!?今の!!
やばくないですか!?」
と、年頃の女の子らしくきゃっきゃとはしゃいだ。
箸が転がっても、ステートがぶら下がってても笑える感じだ。
しかし外の天気はその和やかな雰囲気を一掃した。
雷を含んだどす黒い雲が奇妙に蠢き
ゴロっと音をたてた。
「雲速いね、台風来るし
今日の帰り電車止まったらまずいね」
針とチップを忙しなくセットする華子に先輩が手助けをしつつ話掛けた。
ブラインド式に開く換気窓から
湿ってぬるぬるした外気が何の音もたてず気味悪く浸入していた。