私に恋を教えてくれてありがとう【下】
とりあえず先手を打っておかなくては……


華子はシルバーの惑星のマークが入った黒い大きめのバックから折りたたみ式の携帯を取り出し

焦りの見える手でメールを打ち始めた。



……なんて様なんだろう。



華子は不意に自分の逃げ道を探してしまっていた。




なんて情けない姿なのだろう。




傍から見れば私たちのしていたことは学芸会の様だったのかもしれない。


秘密と思っていたのは自分たちだけで小さな箱の中で踊っていて、その上から幾つもの三日月型の目が蠢いていたのだろうか。



とんだ茶番。



言い寄られたと言えば私は救われるのか?

きっかけは何と言おう?


どこまで進んでいるのか聞かれるか?


しらを切った方がいいか?



……!!!


華子は両手でやわらかな波を打った髪を鷲掴んだ。


< 104 / 355 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop