私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子は何か勘付いてしまった。



そうだ。

この男は電話で私が言ったとおりの

“好きなタイプの男”を演じている。




ちょっと個性的でおしゃれな人で、エスコートを当たり前にする。



もしかして昔私が祐樹を好きたっだと勘違いし、

彼も好意を持ってしまって

いまこうやって前祝をしてくれているのか?





「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





華子は再びお品書きを見るふりをして、

祐樹の頭から、足元まで見えるように

無理に変な体勢をとって目を縦に往復させた。



モノトーンできめた煩過ぎない格好だと華子は思った。




白地に黒のドット柄のシャカシャカした素材のライダースの中は

きれいな鎖骨が見える程度に開いた

白と黒の2枚のロングティーシャツを重ね着している。

そしてサルエルパンツ

こいつは華子の心をわしづかみにしていた。



確かに性格もいいし好きになれるタイプだ。


華子は祐樹と目が合いニヤっとした。
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