私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子は返事をするタイミングを逃してしまった。


余りにも巡り巡る想いが複雑なのだ。


私の苦痛に対したらこんな哀愁塵も同然。



しかし、華子の頭の中では今しがたの牧田の声が動作が

何度も繰り返されて

ますます冷淡さが首元から抜けていくのを感じた。



お互い何度沈黙を破ろうとしただろうか

既に牧田は愛車を華子の家付近の公園に着け

幾度となくエヘンむしをしていた。



華子はというと怒りの殆どが旱魃状態。

最早

間抜けなことに、腹の虫が鳴いてしまわないかを心配するようになっていて


3度目の繰り返しとなったCD
時折激しく吹く空調にそれがかき消されますよう
願っていた。



すると突然大きな影がやってきた。

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