私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子の意識は夕日の隠れた

薄暗い公園脇へと移った。



彼をよく罵(ののし)り

彼の稚気を沢山目の当たりにした場所だ。


エアコンのファンの音がうるさくて犬の吠えた声さえ聞こえない……


ここは彼の車の中だった。



そうだ

私は帰り道この男に拾われたのだ。



華子ははかりごとを巡らせた上、あくまで“助けられた”とは思いたくなかった。



愛惜(あいせき)など捨て

『私は被害者』


そう信じ込みたかったのだ---。






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