私に恋を教えてくれてありがとう【下】
そう



それは




……華子はケースを開け息をのんだ。



中にあったのは涙形のピアス。


蓋の裏にはメッセージカードが仕掛けてある



“これでどこでも

 いつまででも 

 一緒にいられるね”


“愛しています華子”




彼の独特で粗雑に見られる走り書きが手元でどんどん滲んでいく……。


「なんでこんなことするの……?」



殆どが息だった……


私の声は……。



でもこの言葉は完全に華子を支配し


消えかけていた彼の残した黒い染みを蘇らせた。








< 186 / 355 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop