私に恋を教えてくれてありがとう【下】
着いたのは蕎麦屋だった。
途中祐樹は思いついたらしい、小魚のてんぷらを食べさせようと。
それを聞いた華子はテーブル席で得意のニヤっとした笑いをして見せた。
もうこれは頼むメニューも決まっている。わざわざ小魚の為にここへ来たのだから。
向かい合わせの席で華子は髪をシュシュで結び始めた。
「?どうしたの?」
祐樹が訊ねてきた。
「え!?なに!?」
「髪髪」
祐樹は自分の髪をつまみながら、コレコレ!と言った感じで何で結んだのか不思議そうにしていた。
「あ~!!違う違う!髪型変えるなら私だって鏡見たりするし!
お蕎麦食べるのに髪が入りそうかなって思って」
華子はおばさんみたいに手をひらひらしてみせた。
「あれ?」
また祐樹は彼なりの真ん丸な目をした。
「今度は何何何?」
華子は笑顔で言った。
「ピアス……」
華子はギくりとした。