私に恋を教えてくれてありがとう【下】
「でも、今外来は人でが足りていないだろ?
どうなんだ?師長」
事務長が自分の頭を気にしながら聞いた。
「そうねぇ……
正直……足りてないわ……」
それは華子も重々承知でいた。
でもこのかつかつな状況をつくっているのは上の人間の仕業……
あなた達のせいだ。
そんな理由で辞められないというのはちゃんちゃら笑えるものだ。
華子はがんと姿勢を崩すこともなかった。
それを分かったのだろう、総師長は
「もう少し考えてみてくれないかしら?
ほら、まだ退職金も出ないことですし」
そうぼそぼそっと濁し、もう話す時間がないと席を立った。