私に恋を教えてくれてありがとう【下】
翌日、華子は話があると、昨日と同じナースステーションに呼び出され
総看護師長、事務長そして
外来の師長を前にしていた。
総看護師長が口を開いた。
「私たちはあなたを悪いとはおもわないわ。
外来師長とよく話をしたのだけれどあなたは強引に連れられていたのでしょう?
診察室でもよく嫌がっていたそうじゃないですか。
なぜそういう話をもっと早くいわないの?」
華子は目を丸くし外来師長を見た。
腕を組んでただただ無表情である……。
「外来師長もわかっていたのならはやくこちらに伝えるべきだったと反省しているわ。
佐藤さん、これからは私たちがあなたをバックアップします。
牧田先生の診察にはあなたを介助につけない様にするし、
必ず牧田先生の傍には誰か専属の看護師を置くようにするわ。
だからあなたは辞める必要なんて毛頭ないわ!!」
事務長は横でうんうんと相槌をうった。
信じられない。
まさかあの憎たらしい師長めが私をフォローする?
開いた口がふさがらないというのはこういう事なのか?
華子は椅子から降り、濁声の小さな師長にお辞儀をした。
「……あ……
ありがとうございます……」
「いいえ」
華子には鼻息を鳴らされた様に聞こえたが、
この展開だ。
全く気に留めなかった。