私に恋を教えてくれてありがとう【下】
そしてこの後
牧田撃退の話が繰り広げられた。

着信拒否、診察介助の振り分け

帰路の安全保持

あらゆる面から話し合った。


それは華子にとってうつつ。

あの外来師長がこんなに親身になっているのだから……


でも華子は、思わないではいられなかった……

本当はこの状況を楽しんでいるのではないだろうか……と。



しかし今のよい状況を自ら壊すのは正気の沙汰ではない。

華子は疑いの眼差しを押し込めた。

「佐藤さん?大丈夫かい?
 これからもここで働いてくれるかい?」

事務長が、はっきりとした返事を確かめようと急き、華子は三人に目を移しながら

「あ……はい。

  ……努力します」


と、やや濁し気味に、昨日の自分に白旗をあげた……。

そのこたえを聞き、三人は何やらお互いの顔を見合い、物憂いな表情をしていたが、外来師長が、いいわ…私から……と、他二人を黙らせた。

今度は何だ。

やはり私への嫌がらせが始まるのか?と訝しげに見てやった
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