私に恋を教えてくれてありがとう【下】
真っ白な携帯電話が華子のポケットの中で歌い出したのは
足で砂を集めていた時の事。
息せいて電話をとった瞬間、雀が二羽飛んだ。
「もしもし、どした?」
白石祐樹からだ。
華子は少しばかり頬を紅潮させた。
“どうした”と聞いていても、華子の聞きたいことばは一つだけ。
自分からは何も言えない。
自分の気持ちに気付きながら
幾度も連絡を取り合った。
日帰りではあるが旅行にも行った。
どんどん明白になるのは自分の気持ちだけ……。
彼の相槌の多い話し方は
穏やかさを感じさせ
一時は腸をにえくりかえす要因だった
楽観的発言も今では安定剤に等しい。