私に恋を教えてくれてありがとう【下】
声を聞くたび、あの旅行の事を思い出す。
湖に眠ることとなった牧田の愛のかけらは
今では、あれでよかったと思っている。
……もう片方残っていたけれど
それはきっと祐樹という存在のおかげ、
強制的に引き離し、ある場所に葬った。
……Xからの解放。
不思議と
今いる自分は、必死に掴もうと
雲の上の求めていた自分ではなかった。
きっと吸いも甘いも味わった結果であろう。
不倫理への嫌悪が非常に強い
真の華子の倫理が構築されたのかもしれない……。