私に恋を教えてくれてありがとう【下】
ながいながい、沈黙。
もう何年も人間と話したことなんてなくて、喋り方を忘れたかのように黙り続けた……。
重い耳から伝わるのは、彼の息遣いと風の音だったが、
間違いでなければ、バシっとなにか叩いた音がし、
そして、久しぶりの彼の声……
『……好きかも
……知れない
違う…………』
好き??
違う?????
華子は言葉を詰まらせたまま、ただ熱を感じていた。
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