私に恋を教えてくれてありがとう【下】
そして、その妻もさることながらだ。
どういうことか子作りに専念させるという策に出たらしい。
華子には到底知りえぬ、未知の空間がそこには広がっているのだろう。
「まったく……もう50過ぎているのよ?
気持ち悪い」
総師長がついうっかりといった感じに毒を吐いた。
人々の警戒は
時間とともに薄れる。
偉大な預言者によるなんたらという宣言も
今となっては絵空事。
華子のまわりの環境もそれと違いない……。
しかし、この曰くつきの平穏は意外とな長く続いたのだ。