私に恋を教えてくれてありがとう【下】
23回目の冬。
華子はその季節と同じ数の年齢を目前としていた。
あれから1年間の休息後、父親は再就職を決め
家庭は落ちつき
華子と白石祐樹も順風満帆といったところだ。
そろそろいい頃合いではないか?
誰もがそう思っていたし
とりわけ華子は
外来師長の、“華子を守る”意志が
少しも見えなくなってきたので見境をつけようと思っていた。
祐樹とは、同棲を考えている。
彼の中で結婚の二文字はまだ浮かばないようで……
……男は自分の準備が出来るまでなんとかと
ある本で読んだ気がする。
しかしながら、二人は前向き。
職場の経験をして3年は経ったし、
祐樹のもとへ行くのなら県も変わるので
転職に高揚を感じていた。