私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子はいつもどおり

水色でAラインのワンピースに袖を通し

ふわっとパーマをかけた

肩につくかつかない位の栗色の

人形みたいな髪を耳に掛け

予約患者のカルテを確認するため

足早に超音波室へと向かった。





昨日予約一覧表を見た時点では

最初の患者、金井 竜太は8:30に入っていて、

血液検査の予定もあった。




既に患者が来ているのなら

先に採血をしておいたほうが

待ち時間も少なくなっていい塩梅だ。




華子は仕事に慣れてきた自分がうれしくて

患者とすれ違う際、

一層朗らかな笑顔で挨拶をした。




「おはようございますっ」





超音波室の付近にいた40歳位の男性に丁寧に会釈をした。







するとその男性は華子の華奢な腕をつかみ



引き止めた。


< 24 / 355 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop