私に恋を教えてくれてありがとう【下】


あれから日は流れてしまった。


それが悲劇。



職場では凛とした態度をとり、

いつもと変わらぬ連絡のやりとりを祐樹とし

何もなかったことに仕立てたかったのかもしれない。




上手くいっている。


高級安定剤の祐樹は効きが良い。




声を聞くだけで、

存在を考えるだけで

またたく間に幸せを取り戻していった。




普通“犯された”ならばこんな回復っぷりはありえないだろう。


……違う。



完璧に犯されたのではないのだ。




< 258 / 355 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop