私に恋を教えてくれてありがとう【下】
あれから日は流れてしまった。
それが悲劇。
職場では凛とした態度をとり、
いつもと変わらぬ連絡のやりとりを祐樹とし
何もなかったことに仕立てたかったのかもしれない。
上手くいっている。
高級安定剤の祐樹は効きが良い。
声を聞くだけで、
存在を考えるだけで
またたく間に幸せを取り戻していった。
普通“犯された”ならばこんな回復っぷりはありえないだろう。
……違う。
完璧に犯されたのではないのだ。