私に恋を教えてくれてありがとう【下】
祐樹はお決まりに華子と同じ物を片手に持ち
席に着いた。
「で、話は?」
二コリとし華子に急いた。
「急かすねぇ」
と華子節を演じたが、自分でもわかる。
いつもと違う。
華子は喉元に迫りくる心臓の爆音を抑える為に
思い切り酸素を取り込み
一旦息を止め、ある程度まで落ちつかせ……。
祐樹は目の前で起こった現実をなかなか受け入れられないようで、目を白黒させた。
「華子?
どういうこと?」
華子は真っ直ぐ祐樹を見た。
「お願い」
「何で?」
華子はした唇をきゅっと噛みしめた。