私に恋を教えてくれてありがとう【下】
返事なんてあるはずないのはわかっている。
でも、この問いに応えてくれたら
私はあなたを失くさないで済むかもしれないのよ?
この酷い下腹部痛は、あなたがここに居る筈でない子だから訴えているの?
……こんなひとり芝居に没頭することしかなかった。
華子は大きな深呼吸をひとつついた。
きっとドラマだったらこんな展開にはなっていないだろう……
勇猛果敢にこの子と向かいあうのだろう。
でも実際私の様な人間が多いのではないだろうか?
嗚呼……駄目だ
あくまで自分を正当化しようとしてしまう。
醜い。
「佐藤さん。どうぞ」
看護師の声が耳にはっきりと聞こえた。