私に恋を教えてくれてありがとう【下】
華子に、その声は罪深いものだった。
就業後に寄ることが出来るこの産婦人科しか選べなかったという
どうしようもない理由があるものであまり文句は言えないのだが
この様な場で名前を呼ばれるのはプライバシーの侵害としか思えない。
幸せで頬をばら色に染める人間と
一物を抱え、恐怖、懺悔で蒼ざめている人間の二種類が混在しているのだから。
華子は重い腰を上げ
この子を安全に逃がす為の手技を施されに行った……。