私に恋を教えてくれてありがとう【下】
昨日、子宮口を広げる為に何かをうちこまれ
前からあった下腹部痛とともに
妙な違和感と妙な痛みに襲われた。
お腹に鉄の棒が刺されている感覚……
といえばいいだろうか。
外は銀竹。
華子は家を早々と出て
近くにとまるシルバーの車へと
お腹を庇いながら身を隠した。
華子の隣には見慣れた祐樹の顔があったが
心なしか、いつもより硬い面持ちでハンドルを握っていた。
あぶないよと言っても祐樹は片手で
華子の手を握りながら運転するのをやめなかった。
二人は落ち着きをはらった話しかせずに数分後目的地に着いた。
駐車場につくなり華子はぱっとドアを開けたが
どうも隣ではそういう類の動作が目につかない。
「祐樹?どしたの?時間きちゃう」
片足だけ車内の残した華子が、振り向き言った。
「……うん。
…………ごめん」
何かが傾いだのか?
祐樹はぶるぶると頭を大胆に振りサッと車から降り
華子のエスコートを始めたのだったが
「あれ……鍵閉めたっけ?」
と、再び車に駆け付け、開かないドアをガチャガチャさせ
両手を合わせながら戻ってきた。
……二人は目を合わせた。
これは普通なこと。
でも今は深い、とても深い意味がある様な気がしてしっかりと彼を見た。