私に恋を教えてくれてありがとう【下】
祐樹の瞳は優しい……
でも……
「私は……汚い」
震える声は言った。
「私は……祐樹が思ってる様な人間じゃない。
本当なの。
やってはいけない事をしたし、裏切りもした……
嘘までついた。
小さな命を、自分の為に消したんだよ?
そんな私なの。
祐樹が昔気にかけていた私じゃない。
下劣な人間だったの。
そうそう幸せにはなれないし、この先幸せになっていいのかもわからない……」
「ほら」
祐樹が割って入った。
「出た。
そうやって自分で勝手に決めつける。
それが悪い癖。自分でもわかってるんだろ?
だから……
放っておけないし……
放っておかないで」
華子の顔を何度もなでる祐樹の手は以上に震えていた。